平成12年度 全日本卓球選手権大会(一般,ジュニアの部)のみどころ

期日 平成12年12月12日(火)〜17日(日)
会場 名古屋市総合体育館レインボーホール
(名古屋市南区東又兵エ町5-1-16)

「主な話題」

  1. 今年の全日本選手権は28年ぶりの名古屋開催(昭和47年)
  2. 男女シングルスチャンピオンは来年大阪で開催される第46回世界卓球選手権大 会への出場権を獲得できる.
  3. ルール改正により,直径40ミリボールを使った初めての全日本選手権大会であ る.
  4. 昨年,全日本ジュニアの部で3位となった福原愛(ミキハウスJSC)が,ジュ ニアの部で優勝すれば,小学生で初めて.
  5. 全日本出場回数最多は? 男子=柳原正明(北海道・G4クラブ),女子=伊藤 和子(エクセディ)
  6. 全日本現役通算勝数最多は? 男子=斉藤清(埼玉工業大学職員)87勝,女子 =伊藤和子 98勝.
  7. 坂本竜介(青森山田高校)全日本ジュニアの部2連勝なるか?また,一般でどこ まで勝ち抜けるか?
  8. 海外でプレーをしている選手がどういった成果をあげるか?
  9. 混合ダブルスで親子登場!(高志親子・神奈川)
  10. 小山ちれ(池田銀行)が優勝すれば,女子では最多の8回目となる.
  11. 松下浩二(ミキハウス)/渋谷 浩(日産自動車)ペアが優勝すれば,7回目 のタイトルで記録更新となる.

男子の予想

11月までの選手の調子を見ると,次の5名の争いとなるであろう.

偉関晴光(ラララ)がダントツ. スウェーデンオープン(11/22-26ウメオ)でシドニーオリンピック銀メダリストを 大激戦で3対2のジュースで破り, 準決勝では,世界ランキング19位のレグーを倒して決勝進出を果たす活躍. また,ダブルスでも田崎俊雄(協和発酵)と組んで3位に入るなど 40mmボールの効果があったのか? いいコンディションでいる.

松下浩二(ミキハウス)も40ミリに対応すべく試行錯誤している. 家やからいって大会当日までにはうまくまとめてくるだろう.

シドニーオリンピックで世界トップクラスのプリモラッツ(クロアチア)を倒し, ベスト16入りを果たした田崎俊雄(協和発酵)もドイツリーグでもまれ 心理的にも強くなってきている今回は, 優勝を狙って帰国する.

昨年の覇者,渋谷 浩(日産自動車)は, 体調を崩した時期があり国内の成績は,下降線であったが, 10月の全日本社会人選手権ではベスト8に入るなど, 復調の兆しが見えてきている.

国内大会の団体戦グランドスラム(日本リーグ前後期・全日本実業団・全日本団体) 達成の立役者の遊澤 亮(東京アート)も力をつけてきており活躍が楽しみである.

この5名を脅かす存在として,2年連続ベスト4の木方慎之介(明治大学), 全日本学生第2位の大森隆弘(早稲田大学), ドイツでの成果を見せたい真田浩二(愛知工業大学), 2年連続ランキングを果たしている三田村宗明(青森大学), 全日本学生第3位の田勢邦史(青森大学)といった 若手の大学生心が挙げられる. また,帰化選手の高志 亮(日産自動車), 青山振一(びわこ銀行), 佐藤建剛(和歌山銀行), 大野 勇(内田工業), 新井 周(グランプリ) らの選手も実力があるだけに侮れない.

男子シングルス

第1ブロック

ここは前年チャンピオンの澁谷浩(日産自動車)のブロックであるが 5回戦(ベスト16ランキング決定戦)で, 今年10月の全日本学生で2位となった大森隆弘(早稲田大学)と 日本リーグで活躍している新井 周(グランプリ)との勝者と対戦する. もし,大森が勝つと伸び盛りであり,対カットにも強さがあるので, 渋谷もうかうかしていられない.

第2ブロック

ここは順当にいけば, 昨年ベスト16入りを果たした松下英司(協和発酵)と真田浩二(愛知工業大学)が 対戦する. 現在,ドイツリーグ2部でプレー中の真田がどれだけ力をつけてきているのか 楽しみである.

第3ブロック

このパートは,ランキング決定戦で青山振一(びわこ銀行), 佐藤建剛(和歌山銀行)の実力者同士の対決となる.

第4ブロック

このブロックから昨年高校生ながら, ベスト8入りを果たした三田村宗明(青森大学)が, 抜け出したいところだが,ベテランの斉藤清(埼玉工業大学職員)や 平成11人に関東学生選手権を制した井之上善紀(専修大学) といった選手が入っているのですんなり勝つのは難しであろう.

第5ブロック

昨年ベスト8入りを果たした,野平直孝(建勝苑)はランキング決定戦で, おそらく帰化選手となって初めて全日本に出場してくる大野勇(内田工業)と 対戦する.前陣速攻選手同士のスピーディーなゲーム展開となるであろう.

第6ブロック

ここは,徳村智彦(協和発酵),中田幸信(東京アート)が 順当に勝ち上がるだろう.

第7ブロック

ここは,予想外少し難しい. ここ最近の活躍を見ると,村上裕和(協和発酵)が一歩リードか?しかしながら, 元全日本チャンピオンの今枝もいるので, 混戦のブロックだ.

第8ブロック

このブロックは,松下浩二(ミキハウス)が, 平亮太(建勝苑)戦で油断しなければ,順当に抜け出るであろう.

第9ブロック

ここは,全日本でコンスタントに上位に進出する力を 持っている木方慎之介(明治大学)のブロック.

第10ブロック

ここは,混戦のブロックであるだけに,注目をしたい. 外シードの黒川良紀(グランプリ)に若手の大垣友彦(専修大学) 対坂本竜介(青森山田高校)の勝者が挑戦する. 特に,坂本は昨年中学生ながら全日本ジュニアの部を制した選手であり, そのプレーぶりが期待される. また,10月の全日本社会人選手権で第3位となり 復活の兆しがある糀谷博和(びわこ銀行)もこのパートを制したいところだが, 4回戦で対戦する渡辺将人(シチズン時計)も実力のある選手だけに侮れない. 興味ある戦いのパートである.

第11ブロック

今年の全日本社会人で決勝まで進んだ高志 亮(日産自動車)に 最近調子を上げてきている倉嶋洋介(協和発酵)が挑戦する. 全日本社会人ではゲームオールのジュースで,高志に軍配が上がっている. ただし,倉嶋が柳田敏則(明治大学)を退けたらの話だが.

第12ブロック

実力の遊澤 亮(東京アート)がこのパートをものにするであろう. 加藤雅也(青森大学)がスウェーデンリーグの成果を遊澤に対して どういったプレーぶりを見せてくれるか?楽しみである. 現役最多出場の柳原正明(札幌G4クラブ)の味のあるプレーぶりも興味あり.

第13ブロック<\h5>

ここは順当に行けば鬼頭 明(建勝苑)と三原孝博(日産自動車)の争い となるであろう.

第14ブロック

ここは激戦区だ.田崎俊雄(協和発酵)が飛び抜けたいところだが, 全日本学生第3位の速攻選手田勢邦史(青森大学), 全日本社会人優勝のベテランプレーヤー山本恒安(シチズン時計)と 難関が続く.

第15ブロック

このブロックは中堅選手がひしめき合っている. 外シードの矢島淑雄(東京SCクラブ)は, サービスのうまい仲村錦治郎(グランプリ) 対全日本学生第3位の石田大輔(筑波大学)との勝者と4回戦を戦う. 最近メキメキと国内成績をあげてきている 全日本社会人第3位の谷口陽一(和歌山銀行) も下から上がってくる谷口祐二(早稲田大学)をしのげば, 波に乗る可能性がある.

第16ブロック

このところの調子からして,ここは偉関晴光(ラララ)が抜ける.

女子(シングルス)

第1,2ブロック

7度目の優勝をねらう小山(池田銀行)に対し 学生界期待の湯原(富士短期大),表ソフト速攻のベテラン野末(松下電器) らが挑みそう.ベスト8決定戦では攻撃力の優れた 学生選手権第3位の高橋(淑徳大学)か異質攻撃型の岡崎(日本生命) と対戦しそう. いずれが勝者となっても小山を崩すのはむずかしそう.

第3,4ブロック

サービスからの攻撃が売り物の河野(建勝苑)と若手期待の藤沼(四天王寺高校) の戦いとなろう.両選手とも左利きで好試合になろう. 下のブロックからは安定性のある河村(十六銀行)が上がってきそう. 上記勝者と対戦するが河村がベスト8入りしそう.

第5,6ブロック

全日本初出場の高田(日本生命)に注目. 先般のスウェーデンオープンで韓国の柳智恵を破り2位, 両ハンドドライブ攻撃型で安定している. 対抗するのがペン表の辻本(ミキハウス), 左ドライブの川越(建勝苑)の勝者となろうが高田のベスト8入りは濃厚.

第7,8ブロック

ドイツリーグに参戦している内藤(両備システムズ), 守備型で最近攻撃力も高まりレベルアップ. 下のブロックでは過去2度の優勝経験のあるママさん選手佐藤(和歌山銀行)と 西飯美幸(建勝苑)が対戦しそう.楽しみである. 内藤か西飯がベスト8入りか.

第9,10ブロック

小西(ミキハウス)のベスト8入りが堅い. オリンピックでの戦い,その後も積極的に練習,安定してる. 今坂(池田銀行),塩見(松下電器)らが同ブロックであるが, 小西の勢いは止められそうもない.

第11,12ブロック

前陣攻撃の西飯由香(建勝苑)に対し期待の新人樋浦(四天王寺高校)が挑む. 西飯はドイツリーグで活躍中,久しぶりの日本での試合. 樋浦は先のジャパンオープンでベスト16入り,両ハンドのドライブ攻撃がよい. 好試合になろう.

第13,14ブロック

小山(池田銀行)に今年に入り3連勝している羽佳(サンリツ)がいる. 40ミリボールでの戦いで戦術の変化が必要. どのような戦いになるか. 過去の実績からベスト8入りしそう. 対抗するのが武田(建勝苑)で異質ラバーでサービスや攻撃力に威力あり.

第15,16ブロック

梅村(日本生命)がベスト8入り本命. 足の故障から回復,攻撃面も安定し,抜けだしそう. このブロックには学生界期待の四元直美(淑徳大学)や樋野(朝日大学), さらには福原愛(ミキハウスJSC)も上位を狙う.

準々決勝

小山(池田銀行)対 河村(十六銀行),藤沼(四天王寺高校),河野(建勝苑)の勝者になろう. 小山の安定度からみて,優位は動かず小山が準決勝に進出しそう. 次は高田(日本生命)対カットの内藤(両備システムズ)か シェイク攻撃の西飯美幸(建勝苑)になりそう. 高田はカット攻撃もうまいし西飯にも分がよいのでベスト4入りしそう.

次のブロックは小西(ミキハウス)対順調にいけば西飯由香(建勝苑)になりそう. 小西の両ハンドの攻撃が勝か,西飯由香のドイツリーグの成果が出るかみもの.

最後のブロックは羽佳(サンリツ)対梅村(日本生命)の対戦になろう. 梅村はカット打ちが巧いので勝機はあると思うが, ベテラン羽佳に通用するか見物である.

準決勝

小山(池田銀行)対高田(日本生命)・ 小西(ミキハウス)対羽佳(サンリツ)と予想.

小山は中陣からの逆襲ドライブで加点,高田は中陣で両ハンドドライブで対抗. 壮絶なラリーで体力,精神力の極限での戦いになろう.

もう一方のブロックは小西のドライブ中心のカット攻略が勝か, 羽佳のカットとラリー中の攻撃が勝か興味深い一戦になろう. 羽佳やや有利と見る.

決勝

決勝は小山(池田銀行)対羽佳(サンリツ)となれば 小山7度目の優勝は黄色信号となろう. 羽佳の変化カットと攻撃がやや勝る. 小西(ミキハウス)との対戦になれば互角の戦いとなろう.

女子(ダブルス)

第1,2ブロック

西飯組(建勝苑)のブロック決定は米倉・今坂組(池田銀行)との対戦となろう. 左右の強打ペアでコンビも良いので侮れない.次は高校生ペア, 藤沼・樋浦組(四天王寺高校)との対戦になるであろう. 高校界きっての協力ペアがどこまで通用するか見物.

第3,4ブロック

激戦区で河村・浜田組(十六銀行)か梅村・岡崎組(日本生命), さらには紙一重で佐藤・青野組(和歌山銀行)が争う. 最近上り調子の梅村・岡崎組が抜けだしそう.

第5,6ブロック

実績のある武田・川越組(建勝苑)が一歩リード. しかし小西・辻本(ミキハウス)もコンビネーションも良く好試合が期待できそう.

第7,8ブロック

実績のある野末・塩見組(松下電器)がベスト4入りしそう. 学生界で活躍する沼田・藤沼組(中央大学)や 社会人ペアの末益・藤田組(日本生命)もなかなか強いが一歩足らない.

準決勝

準決勝は西飯姉妹組(建勝苑)と梅村・岡崎組(日本生命)が対戦しそう. コンビ抜群の西飯姉妹組に対し 社会人チャンピオンで強打の梅村と異質の岡崎組が挑む. 互角の戦いで好試合となろう.

一方武田・川越組(建勝苑)と野末・塩見組(松下電器)の対戦も 興味あるが武田・川越組が決勝に進出しそう.

決勝

決勝は西飯姉妹組(建勝苑)対武田・川越組(建勝苑)の争いになりそうであるが, 西飯姉妹組が勝てば3連勝,武田・川越組が勝てば初優勝となり, いずれにせよ好試合になるであろう.

ジュニア女子

第1,2ブロック

実力No.1の樋浦(四天王寺高校)が抜き出ている. 両ハンドドライブの威力,安定は高校生ばなれしており, 今福(仙台育英学園高校)とのベスト8決定となろうが有利は動かない.

第3,4ブロック

スケールの大きい杉田(四天王寺高校)を中心に 両ハンド攻撃の重本(松本松南高校), 国体で活躍した平田(青森山田高校)らが挑む.

第5,6ブロック

異質攻撃型の福岡(四天王寺高校)が実績があるが, サービスから攻撃の巧い西田(青森山田高校)も上位を狙う. 逆ブロックではドライブに威力があり凡ミスの少ない平野(仙台育英学園高校)が 上がってきて福岡と対戦しそう.

第7,8ブロック

福原(ミキハウスJSC)の成長ぶりが期待されよう. 40ミリボールでの戦い,動き,パワーさらには異質ラバーの特性は如何に...など. ベスト4決定で全国中学優勝の伊藤(四天王寺中学)との対決になりそう. 上位進出の壁となる.伊藤も鋭い攻撃力を持つ好選手. 見応えのある一戦になりそう.

準決勝

準決勝は樋浦(四天王寺高校)対杉田(四天王寺高校)か 平田(青森山田高校)の勝者で,実績から樋浦が抜け出し, 決勝進出.

他方では福岡(四天王寺高校)と平野(仙台育英学園高校)の勝者と 伊藤(四天王寺中学)と福原(ミキハウスJSC)の勝者が対戦. いずれも互角の好試合になるであろう.

決勝

決勝で勢いに乗って福原(ミキハウスJSC)優勝するか, 樋浦がうち砕き優勝するか.