大会の見どころ

男子シングルの見どころ

男子シングルスの32シードは史上まれに見るほど厳しいブロックばかりで、混戦は必至だ。第1シードで前回王者の丹羽孝希は、今期はドイツ・ブンデスリーガで15連勝と絶好調で、荘智淵(チャイニーズタイペイ)などの強豪を破り、世界ランキングも16位(13年12月発表)まで上げている。しかし、カット型を少し苦手としているので、ジャパンオープンで完敗を喫した塩野真人、また一度も勝ったことがないという岸川聖也が下のブロックを勝ち上がってくると、丹羽の連覇は決して盤石とは言えない。

対抗はリベンジを狙う第2シードの水谷隼と、今年度の成績からして第3シードの松平健太だろう。松平はパリの世界選手権では準々決勝まで勝ち上がり、ベスト8に入賞した。好不調の波が激しい選手だが、今年度はパワーがつき、下半身も安定してきているので、調子の波が少なくなっている。もし準決勝で水谷と当たることになれば、見逃せない大一番となるだろう。その水谷も3年ぶりの王座奪還に燃えている。一昨年、昨年とあと一歩で優勝を逃した元王者の全日本に懸ける思いは強い。

第4シードの大矢英俊のブロックもかなりの実力者が顔を揃える。一昨年のチャンピオン吉村真晴、ロンドン五輪ベスト8の岸川聖也、そして元チャンピオン吉田海偉の存在も無視できない。吉田の間のとり方や戦術はまさに試合巧者。ベテランの技で若手を揺さぶりにくるだろう。特に大矢は吉田を苦手としているので、ペンドラ吉田の大暴れもありえる。

その他にもインターハイチャンピオン森薗政崇、社会人チャンピオン軽部隆介、パリ大会代表の松平賢二と高木和卓、ロシアオープン優勝の張一博など、大会を盛り上げる役者が揃っている。一試合も見逃せない、最強の男を決める戦いが始まる!

女子シングルの見どころ

女子シングルスは、ここ2年連続で福原愛と石川佳純の決勝戦が実現。実力的に頭ひとつ抜けているふたりは、順当に勝ち上がる可能性が高く、3年連続の決勝対決もありえる。世界ランキング9位(13年12月現在)の福原と同10位の石川の、世界トップクラスのラリー戦は見応え十分だ。

福原、石川に次ぐ「第2勢力」としてあげられるのが藤井寛子、平野早矢香、松澤茉里奈だ。藤井と平野は長く日本代表で活躍しているだけに、円熟の卓球を見せてくれるだろう。そして昨年3位に入賞した松澤は、今年はワールドツアーに積極的に出場し、世界ランキングを自身初の二桁(90位)に上げている。女子ではひと際目立つパワー卓球で、昨年果たせなかった石川越えを目指す。

その他にも今年度、世界ランキングを上げてきている森薗美咲と石垣優香。全日本社会人女王の阿部恵、全日学女王の丹羽美里、昨年ベスト8の小野思保、藤井優子という顔ぶれが上位進出を狙う。

また、黄金世代と言われる中学生軍団の奮闘にも注目したい。加藤美優、浜本由惟、(32シードには入っていない)平野美宇のJOCエリートアカデミー勢と、世界ランキングを日本女子で7番目まで上げている伊藤美誠の4人がぐんぐん力をつけている。この4人でチームを組んだジュニアナショナルチームは、昨年10月に行われた全日本選手権(団体の部)で並みいる強豪チームに勝利し、堂々の準優勝。全日本でもひと波乱起こす可能性は十分ある。

女王位を福原が堅持するか、はたまた石川が奪還するか、それとも新たな女王が誕生するのか。JA全農世界卓球2014東京大会を前に熾烈な女王争いから目が離せない。